【レイクランド＝本間普喜】ヤンキースの松井秀喜外野手が２５日、タイガースとのオープン戦に５番左翼で先発出場し、執念の内野安打で５試合連続安打をマークするなど３打数１安打。試合は５－９で敗れたものの、松井は打率．３６５とチーム内で抜群の安定感を誇る。前夜、実家のある石川県が地震に見舞われた。この日はなんとハチの大群の来襲を受けた。取り巻くショックを払拭するかのように松井が活躍し続ける。

　前夜、松井のもとにショッキングなニュースが飛び込んだ。日本時間２５日、能登半島を中心に強い地震があり、犠牲者が出た。松井はすぐさま石川県能美市の実家に連絡を取ろうとしたが、電話が通じず、気が気ではなかった。

　「聞いたときはビックリしました。石川県で大きな地震は聞いたことがなかったんで、ちょっと心配したんですが、時間がたって家族ともつながりましたし、みんな無事だったんでよかったと思います。ぼくも石川県出身なので心配ですね。なるべく小さい被害で収まればいいなと思います」

　神妙な面持ちで話した松井。郷土の被災者を励ますためには、松井自身が活躍することが何よりだろう。

　また、この日は、さらにアクシデントが…。何と、ヤンキースの練習中に突如としてハチの大群が来襲＝写真左、空を覆うばかりの無数のハチがグラウンドを占拠したのだ。セカンド付近に置かれたネットにハチの巣があったのが原因で、まさに、ハチの巣をつついた大騒動となった。たかがハチとはいえ、場合によってはアナフィラキシー・ショックを起こして死に至る危険性もある。「危ない！　逃げろ！」と選手や報道関係者は右往左往。松井をはじめ、選手は次々とクラブハウスへ避難した。幸い、被害はなかったが、それでも練習は一時中断した。メジャーでもめったにない珍事だ。

　郷土の被災に加え、ハチの大群…。だが、こんな思わぬ出来事にも松井は動じず、試合では強豪のタイガースを相手に、粘りのあるバッティングをみせた。

　先頭で迎えた２回の第１打席は、９３マイルの直球を詰まらされ、二ゴロ。３回の第２打席は２死二塁からバットを折りながら打球はショートを強襲、松井の足が勝って内野安打として、５試合連続安打をマークした。５回の第３打席は、いい当たりながらも遊撃手の正面を突き、ショートライナー。その裏の守備から交代し、この日は３打数１安打だった。

　「飛んでくれたところがよかったんで内野安打になりましたけど、バッティングとしては今イチでしたね。（第３打席は）フルカウントになって、最後は厳しいボールじゃなかったんですが、詰まってしまったんで取られちゃいましたけど、バッティングとしては悪くないんじゃないですか」

　打率は．３６５とかつてない高水準を維持し、チーム内でも安定感は抜群。ホームランがまだ１本しか出ていないことが気掛かりといえば気掛かりだが、松井自身は「気にしていない」という。

　「日々の中でその時その時、全力を尽くしてやろうと思っているし、状態はいいと思う。いろいろ確認しながらプレーできている。準備という意味では、ある程度できていると思います」

　開幕まで残り１週間。勝負の５年目に向け、いよいよ戦闘準備は整った。

ZAKZAK 2007/03/26

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